その名の通り，映画を宣伝告知する「映画ポスター」。映画館や一部の公共施設などで使用されますが，これは販売目的ではなくあくまで宣伝材料として作られるポスターです。
従って選ばれた印刷会社で指定された一定数量のみが印刷され，版下は製作終了後破棄されて再販不可となります。このため「オリジナルポスター」と呼ばれ，限定ポスターとしてコレクターの間で高い価値がつきます。
映画ポスターの種類とそれぞれの価値
このオリジナルポスターと区別するために「リバイバルポスター」や「リミテッド・エディションポスター」，「商業用ポスター」などと呼び分けられているポスターがあります。
「リバイバルポスター」は初回の映画公開から何年か経った後に再上映される映画の宣伝ポスター，「リミテッド・エディションポスター」は映画会社やライセンス取得印刷会社などによってファンクラブ用などに作られる限定ポスター，「商業用ポスター」は一般に向けて販売する目的で大量につくられるコマーシャルポスターのことを指します。
ちなみにコレクターたちの間では，「映画ポスター（オリジナルポスター）＞リバイバルポスター＞リミテッド・エディションポスター＞商業用ポスター」という価値的位置づけがあり，最後の商業用ポスターに関しては収集価値があるとは見なされていません。
集客効果が高い映画ポスターのデザインとは？
映画ファンや映画ポスターのコレクターにとっては新しい映画ポスターを見つけただけで期待に胸を膨らませることになりますが，そうでない一般層の人たちにとっても，良く考え抜かれデザインされた映画ポスターは集客効果を発揮します。
かつて日本では洋画ポスターは日本独自でデザインされており「日本の洋画ポスターはダサい」などと揶揄されてきましたが，現在ではアメリカのポスターなどオリジナルポスターがそのまま流用されるようになってきました。
オリジナルポスターを見ると分かるように，秀逸な映画ポスターはほとんどあるいは全くと言っていいほどコピー文を挿入していません。画像だけでその映画が持つテーマや雰囲気，世界観を見事に表現しています。ここが，他の商品・サービス販促ポスターと映画ポスターの大きな違いでしょう。不必要に文章を挿入することで映画を台無しにしてしまわないように気を付けなければならない分だけ，画像に秀逸なセンスが求められるわけです。
ポスターを見た顧客がその内容を容易に想像でき，しかも「観てみたい」と思わせるセンスの良いデザインにするには，色や構図が人の心理に及ぼす効果を勉強しておく必要があるでしょう。